剣を握る手、その後(G×L)





  「ガイ…うっ…うぅっ…」

腕の中で静かに泣き続けるルークが愛おしい。
だが、俺の中にもう一ついる何かが危険だと訴える。

(ルーク、屋敷に戻ればお前はもう二度と剣をとらなくて済む…もう二度と)

ぎゅっと力をいれると、ルークは更に強く抱きついてきた。

「ガイ…ガイぃ…」
「辛かったな、ルーク…」

小さくこくりと頷く。

(か、可愛い…。い、いや。ちょっと待て。可愛いってなんだ?ルークは男だぞ?)

危ない。
色んな意味で、この状況は危ない。
そう思い、ルークを引き剥がそうとするが。
反って抱きついてしまった。
泣き顔を見られたくないんだろうか…?

「…ルーク?」

呼んでも、顔を胸に押し付けてくるだけ。
…もう、理性なんて捨ててもいいかもしれない。
だって、こんなに可愛いんだぞ?
俺のルークはこんなに可愛いんだぞ?
いいよな?いいはずだ。

「…ルーク、ほら。顔上げろ」

ルークの顔を両手で包み、顔を向き合わせる。

(あーあ、顔をこすり付けるから全体的に赤くなってるじゃないか)

可愛い。
それすらも。
目がもう真っ赤で…。
気付いた時には、吸い寄せられていた。
そっと頬に口付ける。

「っ!!?」

びっくりして、頬を手で隠す。
馬鹿だな。そんなとこ隠しても意味ないのに。
そのまま、唇へと口付ける。

「…ん…んんっ」
可愛い。可愛い。可愛い。
胸を叩く手を押さえ、何回も唇を重ねる。

「んんっ…やめっ…んーーっ」
本気で苦しくなってきたのか。
それすらも愛しくて。
そっと、唇を離してやる。

「な、な、なにすんだよっ!!」
「ん?大事な坊ちゃんの涙を止めて差し上げようと思ってね」
「ばっ!何もこんなやり方しなくてもいいだろっ!!」
「はいはい。初めての坊ちゃんにはちょっと刺激が強すぎましたか?」
「う、うるせーーっ!!ガイの馬鹿やろーーーっ!!」

顔を真っ赤にして走り去る。

(さーて、どうやってご機嫌をとろうかな…?)

とりあえずルークの後を追うべく走り出した。