『フレン』のユーリ○○日記  





【10】



【○月×△日 金曜日】



『失敗した』とは、思わなかった。
だって、あんな所に日記を置いていたら何時かバれるに決まっていたんだ。
それに、鳩尾一発ですむなら安いものだ。

…ただ、僕は今非常に危険な位置に立っている気がする。

昨日の夜。
ユーリからメールがあったのだ。
内容は、『明日暇か?暇ならカラオケ行こうぜ』

……。
………ユーリがカラオケ?
あのユーリがカラオケ…?
確かにユーリは歌が上手い方だし、クラスメートに行こうと言われれば付き合ってやる位にはカラオケに行っている。
でも、自分から進んで行こうとはしないから。
このメールには正直驚いた。
僕の方に断る理由は無いし、二つ返事でオーケーはしたけれど。
どうせ今日は、世間一般的に祝日なのだ。
待ち合わせ場所は駅で、今こうして向かっているのだけれど。
駅についてキョロキョロと辺りを見回すと、ユーリが駅の入り口付近の壁に寄りかかり空を見上げていた。
急いで走り寄るとユーリは『よっ』と何時もの不敵な笑みで笑った。

そのまま他愛も無い話をしながら電車に乗り込み隣の駅へ。
…けど、僕にとっては他愛も無い話だけれど、もしかしたらユーリにとっては大事な話なのかな?
だってユーリは僕とフレンが双子だった事を知らなかった。
と言う事は、僕が違う学校にいるって事も知らなかった訳で、どういう学校生活を送っているのか気になるのかもしれない。
と思ったけど、話している間二言目には、『双子ってすげー』だったからきっとフレンと同じって言いたいんだろうなと結論に辿り着いた。

カラオケのある駅に着き、数分歩くと行きつけのカラオケに到着する。
僕が受付をすませる。面倒なのでフリータイムで。そっちの方が安いし。
部屋番号を聞き、ユーリと一緒に部屋に入った。

大きめのソファに座り、反対のソファにユーリが座る。
カラオケに来たいって言うから歌を歌って何かを発散したいのかと思えばユーリは全く動こうとしない。
しばらくして受付時に頼んどいたドリンクを店員さんが運んで来て、再び出て行く。
それを確認してしばらくすると、ユーリが口を開いた。

「オレな?」
「うん?」
「フレンに聞いたんだよ。もしオレがお前を選んだらどうする?って」
「僕を選んだら?」
「そう」
「…フレンの事だ。こう言ったんじゃないか?『君の前から姿を消す』って」

聞くとユーリはこくりと頷いた。

「お前は、どうなんだ?」
「僕?」
「お前は、オレがもし、あっちのフレンを選んだらどうする?」
「……同じだよ。僕も君がフレンに抱かれているなんて我慢できないから、君の前から姿を消す事になるよ」

僕の答えを聞いたユーリは、酷く辛そうな顔をした。
ゆっくりと俯き、自分の膝の上に肘をつき指を組んだ上に額をくっつけ、はぁと大きく息を吐き出す。

「……ユーリ?」

その溜息が何の意味があるのか分からなくて、怖くてユーリに声をかけるとユーリはニヤッと口角を上げて笑った。
何時ものユーリの笑みでホッとする。

「…覚悟を決めろって事か」
「ユーリ?」
「…いや、何でもない。それより、折角来て金払ってんだ。歌おうぜ」

そう言ってマイクを画面の下の棚から取ると、僕に渡し素早く番号を入力していく。
ちょっと待て。
一体何曲、しかも僕に歌わせるのか?
と言う突っ込みは全く意味をなさないようだ。
直ぐに曲は流れ始め、僕は仕方なく歌いだした。

…結局ユーリは自分で歌うのが数回で、僕がほぼ歌い続けた。
でも、流石に疲れて音楽を流すだけでマイクを置くと、ユーリは僕をチロリと睨みつけた。

「何で、止めんだよ」
「何でって、流石に疲れたよ」
「…ちぇ」
「ちぇって、ユーリ?」
「オレ、お前の歌声好きなんだよ。ずっと聞いてたいくらいだ」

珍しくユーリの素直なセリフに僕は顔に熱が集中していくのが分かった。
…何か悔しくてユーリをじっと見ているとふいっと顔を逸らす。その黒い髪に隠れた耳が真っ赤に染まって…ユーリももしかして照れてる?
その姿が堪らなく愛おしくて、ソファを立ち上がりテーブルを乗り越えてユーリの熟れた耳にそっと触れる。
すると、びくっと体を震わせ即座に僕から離れ耳を手で防いだ。

「い、いきなり、何しやがるっ?」
「…つい、触ってみたくて…」
「…この前思う存分触ったじゃねーか」

ユーリが僕から距離をとる。それが何故かちょっと気に食わない。
起き上がりテーブルを迂回して、ユーリの座るソファに座る。
そして、見つけてしまった。
僕とフレンがユーリを抱いたのが、一週間前。
なのに、ユーリの首筋や開いた胸元に鬱血の痕が残ってるのは何でだ?
……そんなの答えは一つに決まってる。
ぐいっとユーリの腰に手を回して引き寄せ、着ているパーカーTシャツの裾をめくり上げる。
腹に迄ある…フレンとの痕。

「ちょ、止めろってっ。離せっ」

抵抗するユーリを押し倒しソファへと押しつける。

「ふれ、ん……?」

少しの恐怖がユーリの瞳に浮かび上がる。

「ユーリ、フレンとしたの…?」
「えっ!?」
「体中に痕がついてる…。僕達二人でした時の痕ならもうそろそろ薄れてきてもいい筈なのに。こんなはっきり残ってるんだ。それ以外考えられない」
「お、落ち着け、フレンっ!んんっ!?」

悔しい。それ以上に…狡いっ!!
ユーリの唇を奪い取り、ゆっくりと口内を探る。歯を一つ一つ確かめて、舌の先を突いて、裏を舐める。
鼻から抜けるユーリの声を導き出すように、じっくりとユーリを味わう。

「…ま、待て、って、はっ、ぁ…」
「フレンは良くて僕は駄目?」
「フレン…?」
「ユーリは僕じゃなくフレンを選ぶのかい?」

そう聞いた瞬間ユーリの瞳がキッと意思を持った。
何かを訴える様な瞳。…ユーリがこの瞳をする時は何かを決めた時。
でも、それが何か分からない僕はただその瞳を直視出来ず、ユーリの唇が言葉を紡ぎ出す事すら怖くて無理矢理ユーリの口をキスで塞ぐ。
呼吸も何もかも奪い取って、ユーリの思考を捨て去る。
捲り上げたパーカーTシャツの下から覗く胸の突起をぱくりと口に含む。
コロコロと舌で転がすと、僕達の所為で素直になったその体は分かりやすく反応を返す。
ユーリ愛用のジーンズのベルトを外し、下着の中へと手を潜らせると、ユーリは顔を振りキスから逃れると僕の肩を両手で押した。

「…ふれ、……てっ、やぁ…」
「もう、溢れて来てる…。下着、濡れちゃうかもよ?」

やだやだと顔を振るユーリの頬にキスを落として、ボトムと下着を脱がせてしまう。
このままイかせてあげてもいいんだけど…。
ポケットから小さな四角い、男なら誰しも知っている物を取り出す。
ユーリの勃起したそれを擦り、先端に爪を立て更に煽ってから硬くなった所にパッケージを切りゆっくりとユーリのそれへ被せる。
違和感を感じたユーリが何?と僕に潤んだ瞳で問い掛ける。
それに、気にしないでと笑って答えると、もう一つポケットから取り出す。
これも小さな長方形のパック。それの角を切り指へと中に入っていたジェルをつける。
そのジェルに濡れた指をユーリの足の間。僕達を何回も受け入れてくれるそこへと押しつけ中へと潜り込ませる。

「…なっ!?、やッ、お、まえっ、までぇ…うぁっ!?」
「…フレンだけ君を抱けるなんて不公平だ」
「やぁっ…これ、やだぁ…ひっ、うぅ…」

嫌と言いながらも気持ちがいいのか、ユーリの腰が揺れている。
可愛い…。ジェルの滑りが中の指がスムーズに動く。お陰であっさりと指二本を受け入れる。

「……ふっ、うっ……ぁッ…」

ユーリの眦から雫が零れ落ちる。
まだイかせるつもりはない。敢えてユーリが一番感じる所を外して中を解す。
ぴくぴくとユーリのソコが反応するが、それでもイけなくてユーリが無意識にそこへ手を伸ばすがけど、その手を握り指に舌を絡めると手は僕の顔を押しやった。

「…ユーリ、おいで」
「…ぇ?」

指を引き抜き、ぐいっと引っ張り上げ座る僕の上に跨がせると、力の抜けたユーリの体はくてっと僕の方へ凭れかかって来た。

「ユーリ…。大丈夫?」
「大丈夫、じゃ、ない…。ここ、どこだと…」
「カラオケボックスだね?」
「だね、じゃな、い…」
「どうして?音も漏れないし、呼ばない限り誰も来ない。問題無いだろう?」

ふっと耳元に息を吹き込むとユーリの体は震え、堪らなくなったのかユーリが僕の首に抱きつく。

「…でも、そっか。折角カラオケに来てるんだし、何か利用してみる?」
「…な、に?」
「ほら。丁度いいのがあるよ。これ、入れてみようか」

そう言ってユーリに見せたのは、カラオケボックスには当然と言うか、無い訳が無いもの、マイクを見せた。
途端、ユーリの顔がさぁっと青ざめる。

「む、むりっ、ふれんっ」
「大丈夫だよ。僕達二人を受け入れれるんだから、この位の太さどうって事ないよ」
「ゃッ、いやだっ」
「…そんなに嫌?」

コクコクと頷くユーリは必死だ。そんなユーリが可愛くて僕はユーリの耳をぺろっと舐めた。そして…。

「じゃあ、これ入れない替わりに、自分で僕を受け入れて?」
「…う、け…?」

意味を理解出来ずに繰り返すユーリの蕾にもう一度指を押し込み、「そう、ここに…」と耳元で呟く。
するとユーリの顔は一瞬にして真っ赤に染まり、そして無理と首を振る。

「なら、マイクにする?」

聞くと、しばらく僕の瞳を覗きこみじっと見つめ、何か諦めたかのように僕のベルトへと手を付けた。
その間もユーリの中を解す為に指を動かし続け、中の悦い所を掠める度体が震えユーリの指が止まる。
……これだと、僕まで生殺しだ。
自分でベルトを外し、ボトムの前を寛げる。するとユーリの手がゆっくりと僕のを下着から取り出し撫でる。

「……ッ」
「…ふれ、ん…」

これは、流石に…いろんな意味できつい。一旦指を引き抜きゴムのパッケージを歯で千切り開け、ゴムを自分のに着けると、改めて仕返しとばかりに乳首を弾く。
体を震わせつつもそのままユーリは緩慢な動きで僕のそれを入り口に宛がうと、少しずつ飲み込み始める。

「…くっ……」
「ぁッ、……ァッ!」

どっちが焦らされているのか、分からない。
分かるのは、目の前のユーリが可愛いって事と、ユーリの中が堪らなく気持ちいいって事だけ。
一番太い所が入り込み、ユーリはもう無理だと僕の肩へ額をすり付ける。
確かにこれ以上は辛いかな…?
僕はユーリの髪を梳くように頭を撫でる。そして、ユーリの未だ受け入れる事を拒んで力が入っている膝の裏に手をやり持ち上げた。

「やぁあああっ!?」

力のバランスが崩れたユーリはそのまま自重で深く僕を飲み込む。
…こんな状況で我慢何て無理だ。
ユーリの腰を掴み、ぐっぐっと引っ張りながらも逆らいながら奥へと突き上げる。

「やっ、…ヤッ、あァッ、アッ、んッ、はッ、あっ」
「……ゆーり…っ」

僕の服を必死に掴み逃げようとするユーリの気持ちとは裏腹に腰が無意識に動き自分から感じる所を追い求める。
もう限界だとユーリがぎゅっと僕の首に抱きつき、僕はユーリの乳首を摘まみ指の腹で擦り付けたその瞬間、ユーリが白濁を放ち、その締め付けで僕もユーリの中で達した。


荒れる息を整えている中、部屋の中ではユーリが入れた曲が流れていた。