拍手御礼 〜フレユリ 学パロ番外〜
最後の一騎打ちだった。
ここで負ければオレ達には地獄が待ち受けている。
「ユーリ、頑張ってっ!!」
カロルが両手をギュッと握りしめて声援をくれた。
「そうよっ。あんたに全部かかってるんだからっ」
「頑張ってね。ユーリ」
リタとジュディスが発破をかけてくれる。
「ユーリ、頑張るのじゃっ!」
「頑張ってくださいっ!!」
パティとエステルまで応援してくれる。
こりゃ、負ける訳にはいかねぇな。
手に持っていたコントローラーを改めて握りしめる。
「フレン、お前には負けねぇからなっ!」
「僕だって、負けないよ」
そして、スタートボタンを二人同時におし、ゲームは開始された。
このゲームは水球のような球が二つ連結して落ちて来て、同じ色の球が四つくっついたら消え、相手にお邪魔虫的な球が落ち相手を陥れた方が勝ちと言う昔ながらのゲームである。
勝負は三回。
内二回を先に勝てば勝利である。
結果は…2対1でオレの負けだった…。
「ふふっ。これで今日の料理当番は僕だね」
「くっそー…」
「ちょっと、ユーリ。あんた何負けてんのよっ」
「あー、悪い。リタ」
「ふ、フレン。やっぱり僕が代わるよ?」
「カロル。それだとゲームをして決着を付けた意味がないだろう?」
「そ、それは、そうだけど…」
「むぅ…。しかし、フレンがこんなにゲームに強いとはの…」
「えぇ。予想外だったわね」
「でも私は楽しかったです」
「エステル。駄目よっ!!これで、今日の晩御飯は激辛料理とか、とにかくやばいもんになるのよっ!?」
…ぎゃいぎゃいと、賑やかだ。
そもそも、このゲームをした理由は、フレンが「今日は僕が腕を振るうよ」と言いだした事から始まった。
勿論、危険な料理を食いたくないオレ達は必死に食い下がったけれど、フレンは言いだしたら頑固である。
だから、ジュディスが提案した。ゲームで決めたらどうかと。
そして開催された、第一回キッチン争奪ぷよぷよ大会。
結果は…知っての通りフレンの勝ちだった。
「…はぁ。皆、覚悟決めようぜ」
「…そうね。それしかないわね…」
「じゃあ、僕は早速料理に入るよ」
ウキウキしながら立ちあがったフレン。
しかし、フレン台所に向かう前にリビングのドアが開いた。
「はいはーいっ!おっさんのお帰りですよーっ」
「おー、おかえり。おっさん」
「あれ?レイヴン、手に持ってるそれ何?」
「良くぞ聞いてくれましたっ!これはおっさんから皆へのおみやげっ!お寿司よーっ!」
皆の顔が一斉に明るくなる。
「じゃ、じゃあ、皆でレイヴンのお土産食べようよっ」
「そ、そうねっ。今日はそうしましょ。ありがとっ、おっさん」
「リタっちがお礼…?え?何?どうしたの?」
「まぁまぁ、気にしないでください」
「そうじゃ。おっさんは取りあえず座っとくのじゃ」
「それじゃ、私はお皿を持ってくるわ」
「んじゃ、フレン。オレ等は急いでお吸い物作るぞ」
「え?あ、うん」
フレンとオレが一緒に作った事により、フレンのキッチンジャックの権利は消費され、何とか無事に危機を乗り越える事が出来た。
それからフレンが突発的に料理を作りたがる時は、レイヴンにお土産を頼む様にしようと全員が心に誓ったと言う…。