※ 相変わらずフレンが…違う世界の住人です(いや、ある意味アタシとは同じ世界の住人です/笑)
※ やっぱりギャグなんです…。
天使か悪魔か人間か
「ねぇ、ユーリ」
帝都の下町の宿屋。オレがいつも間借している箒星の二階で今日は一泊する事に決めたオレ達はそれぞれ好き勝手な行動をしていた。そんな中ありえない位入る謎な次元鞄の中を整理しているカロルがオレに話しかけた。多分、無言で作業するのが嫌なのだろう。剣の手入れをしていたオレは、「んー?」と軽い返事を返すと。
「これ、つけた事あったっけ?」
そう言って渡されたアタッチメントの『悪魔セット』。悪魔の羽としっぽ。つけた事があるかと問われれば。
「ねぇな」
と答えるしかなかった。そもそも、オレはアタッチメントがそんなに好きではない。他の衣装を着るのならまだしも、何故おかしな物を身につけて歩かなければならないのか。
「えーっ!?なんでっ!?」
「何でって、好きじゃねぇんだよ」
「どうして?」
「邪魔くせぇだろ?」
「そうかなぁ…?」
納得がいっていないと顔の書いてある。じゃあ、コレは?コレは?とカロルが鞄から次から次へと取り出すが、つけた事はない。
「もったいないよ、ユーリ」
「って言われてもな…」
「どうせだから、今付けて見る?」
「へ?」
「どれがいい?」
カロル、何か生き生きしてないかっ!?
鞄から取り出したアタッチメントを広げどれがいいかと悩んでいる。これは…今のうち逃げた方がいいんじゃないか…?うん。多分そうだ。逃げよう。窓の方へそーっと近寄り、窓枠へ足をかけ着地をする時の為、下を向くとそこにはおっさんが美女の物色をしていた。丁度いい。あのおっさんの上に降りよう。
「ユーリっ、これがいいよっ。これつけてっ」
ポスッと肩に何かつけられた。逃げ切れなかったようだ。…せめて、何をつけられたのか、確認しよう。
「カロル。何つけた?」
「天使セットの羽だけ」
「何だ。天使の羽位ならまだ」
―――カシャーンッ。
何の音だ?確か、下の方から音が…?
視線を窓の下に向けると、
「…フレン?」
持って歩いてたであろう酒瓶を落とし、こっちを呆然と見つめている。……何か嫌な予感がする。はっとしたフレンがオレを見直す為なのか、目をこすっている。とりあえずその隙に部屋の中へに戻り、慌てて天使の羽をカロルに返した。
「カロル。やっぱ、オレにアタッチメントは似合わ」
「あ、じゃあ、最初に言ったコレは?」
「…聞けよ。人の話。ってか、勝手につけるな」
そういって着けられた悪魔の羽。まぁ、天使の羽よりはマシか?でもなぁ…。
如何したものか…。悩んでいると、コンコンとノックがして「ユーリ」とフレンが中に入ってきてオレの姿を見るなり開けた戸を閉めた。
とにかく、この隙にとアタッチメントを外して、カロルへと返す。
「でも、やっぱりこっちのがいいかな?」
「だからな?カロル。オレは」
首に何かつけられる。これは…ネックレス、か?けど、オレ首に何かつけるの苦手なんだよな…。あー…。
「あー、もうっ。こういうのは外にいるフレンにつけてろよっ。オレはパスっ」
「えーっ!?」
カロルにまた何かつけられる前に窓から飛び降りる。
下にいるはずのおっさんを踏み台に…って、フレンっ!?
下で両手を広げオレをキャッチした。見事にフレンの腕へとおさまり、何か恥ずかしい。
「って言うか、お前さっきドアの前にいたような…?」
「ユーリ、君は何時から天使になったんだい?」
「聞けよ、人の話…」
「それとも、悪魔なのかな?」
「うるせぇなっ。あれは、カロルがっ!」
「カロル?」
「勝手につけてくるんだよっ。折角手に入れたアタッチメントがもったいねーとか何とか言って」
「…なるほど。それは、ちょっと困るね」
「だろっ!?」
流石フレンっ!!話が通じるぜっ!!
ちょっと感動した。フレンは頷きながら階段を上りさっきオレが逃げ出した部屋に帰る。
……なんで?
「カロルっ」
あ、もしかして、カロルに注意する為に来たのかっ!?
フレン、お前っていい奴だな…。
うっかり、涙が出そうになる。しかし…。
「困るよ、カロルっ。どうして、そんな楽しそうな事をしているのに、僕を呼んでくれないんだっ!?」
「…は?」
「僕も仲間に入れてくれっ。ユーリだったら…そうだな…。天使も悪魔も捨てがたいけど、ユーリはやっぱり裸が一番綺麗だと思うから…」
「なっ!?」
「確かにユーリの筋肉綺麗だもんねっ!」
カロル、それは違うぞっ!!お前みたいに純粋な奴と違うんだっ!!お前の前にいるのはお前みたいにピュアじゃないんだっ!!
必死に暴れてフレンの膝の上から逃れようとするが、上手い事それを阻止してオレを腕の中に抱えたまま、楽しげに選んで…。
とにかく、この姫抱きのような状況から逃げ出さなければっ!!
しかし、やっぱりと言うかなんと言うか…。
フレンはオレを放す事は無く、ただ体力の無駄遣いに終わった。
「…これは?」
「これには…あれと…」
「……おい、お前ら…」
一切人の話を聞かない。それどころか…。
「…いっそ、頬紅はどうっ!?」
「それはいいねっ!!ユーリ、ベットの上で裸に頬紅つけてくれないかっ!?」
とんでもない要求に、
「いい加減にしろーーーーっ!!」
と、オレの叫びが飛んだのは言うまでも無かった…。