フレ太郎 





多分…昔。
ある所に、女の人大好き、どんな女性でもどんと来いなおじいさんと、そんなおじいさんを撃ち殺さんとするおばあさんがおりました。
今日も今日とておじいさんは山にしばかれに、おばあさんは川に魚を釣りに行きました。

「うん。違うよね」
「のじゃ。うちは魚を釣るのは海だけと決めておるのじゃ」
「いやいや、そうじゃなくてね、パティちゃん。どうしておっさんは山にしばかれに行かなきゃいけないのかな?」
「うむ。きっと日頃の行いが悪いからじゃっ!!」
「あらー、きっぱり言うのねー。おっさん、悲しー」

…ごほん。
改めまして、おじいさんは山に芝刈りに。おばあさんは川に洗濯をしに行くのでした。

ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな大きな金色の桃がどんぶらこっこ、どんぶらこっこと流れてくるではありませんか。
だが、しかし。
おばあさんは果物を食べたい気分ではなく、そのまま流れて行く桃を見送りました。

めでたしめでたし。

「だから、違うよね?」
「む?」
「パティちゃん。話が進まなくなるし、中で待機している青年が死んじゃうから、ちゃんと拾ってあげてくれる?」
「むぅ〜…。仕方ないのぉー」

…げふん。
では、改めまして。
おばあさんは、流れて来る大きな金色の桃を釣り上げると洗濯物そっちのけで、籠へと詰めると家へと持ち帰るのでした。
はてさて、どう料理してくれようか。
おばあさんが色々な桃のレシピを考えていると、そこへ山へ芝刈りに行っていたおじいさんが帰ってきました。
おじいさんは、その大きな桃を見て大層驚いたそうな。
そして、そんなおじいさんをみておばあさんは閃いたのです。

「そうじゃっ。ピーチパイを作ろうっ!」

思い立ったが吉日。
お婆さんは包丁を持ち、桃を一刀両断。
すると…。

「ふぅ。やっと出れた」

銀色の鎧を纏った金髪の青年が中から出てきたのです。

「……ねぇ。パティちゃん」
「なんじゃ?」
「産まれたて、なんじゃなかったっけ?」
「仕方ないのじゃ。赤ちゃん役出来る人間がいないのじゃ」
「まー、そりゃそうなんだろうーけどー」
「お二人が僕を助けて下さったんですね?有難うございます」

無駄にキラキラしている青年の光におじいさんの胸に矢が刺さります。
因みに「きゅんvv」ではなく「ざくっ」と刺さっております。
それに耐え忍び、おじいさんは青年に聞きました。

「色々物理的に考えても無理な所があるんだけど、今はそれは置いといて。それより、色々あって疲れてんでしょ。家で暮らしなさいな」
「え?暮らす?い、いや。そこまでご迷惑をかける訳には」
「…そこで断られると話が進まないのじゃ」
「そ、それもそうですね。…では、お言葉に甘えます」

そうして桃から産まれた青年は、おじいさんとおばあさんと暮らすことになりました。

日々、楽しく頼もしく暮らしていた、そんなある日。

「鬼が悪さをしている?」
「そーなのよー。色々噂になってるのよねー」
「それは、騎士としては放ってはおけませんね。僕が懲らしめてきましょう」

ぶすりっ。
おじいさんの胸に再び罪悪感という何かが刺さりましたが、それはさて置き。

「ならば、これを持って行くのじゃ。フレン」
「パティ?これは?」
「おでんじゃっ!」

……。
…きびだんご…い、いやいや、桃から産まれた青年は満面の笑みでおばあさんからおでんを授かると、蒼い剣を携え鬼がいると言う鬼が島へ鬼退治へと旅立ちました。

鬼が島へと向かう道中。
青年の持つおでんの香りに引きつけられ三匹の生き物が現れました。

「ちょっとそこの」
「え?」
「あんたよ。金髪のあんた」
「あぁ、僕の事だね。どうかしたのかい?」
「アタシ、おなか減ってんのよ。そのおでん分けてくんない?」

随分と態度の大きいキジがお腹をすかせていました。
心優しい桃から産まれた青年は、断る理由も拒否する理由も無くおでんを一串キジへ分け与えました。
その優しさに感動したキジは。

「…もぐもぐ。……さて、行きましょうか」
「えっ?何処へ?」
「アンタ、どっか行く途中だったんでしょ。おでん貰った訳だし、アンタについってってあげるわ」
「……そうか。ありがとう。僕はフレンだ。よろしく」
「ふ、ふんっ。…アタシはリタよ」

ツンデレなキジの気持ちを理解した青年は再び前へと進みます。

「ねぇねぇ」
「ん?なんだい?」

裾を引かれた方をみるとそこには猿が悲しそうな顔でこっちをみていました。
どうかしたのかと問い掛けると、やはりこの猿もお腹を空かせているようでした。
勿論心の優しい青年は、持っていたおでんを分け与えます。

「うわぁっ!!パティのおでんだーっ!!いいのっ!?ほんとに食べていいのっ!?」
「あぁ。どうぞ」
「ありがとうっ!!お礼に僕もその鬼が島に一緒に行ってあげるっ!!」

こうして仲間は増えて行きます。
最後に。

「わふっ!!」
「……確かに、桃太郎と言えばキジ、猿、犬の三匹だけど」
「うん。…ラピードだけ本物だよね」
「犬、だからね」

それでも青年は犬にもおでんを分け与え、三匹の生き物と共に鬼が島へ向かうのでした。

そして、等々訪れた鬼が島。
船を降りられそうな岸に止め、武器を片手に洞窟へと進んで行くのです。

すると洞窟の奥がぼんやりと明るくなり、話声が聞こえてきました。
勿論、青年はそこへ挑みます。
剣を抜き、明かりの中へと飛び込むと、そこには…。

「…人の家に剣を抜いて、突入してくるたぁ、どういう了見だ?」

黒い髪のそれはそれは大層綺麗な鬼が刀片手に座り込んでいました。
小さなランプの明かりが、その鬼の綺麗さを増長させます。

「……君は…?」

無意識に出た言葉。青年はその鬼から目が離せませんでした。
しかし、鬼は違います。

「人に名前尋ねる前に自分の名を名乗る。それが人間の礼儀じゃなかったのか?」
「あ、す、すまない。僕の名はフレン・シ―フォ」
「ふぅん。…オレは、ユーリだ。ユーリ・ローウェル。んで?こんな孤島の鬼に人間様が何の用だ?」
「…君が、悪さをしていると聞いて来たんだ」
「へぇ。懲らしめに来たって訳か」

すっと鬼の目が細められ、気配に殺意が込められた。

「言っておくが、オレ達鬼の一族は産まれてこのかた、この孤島を出た事が無ぇ。そもそも、この島自体が鬼が暮らす島だった。だっつーのに、てめぇら人間がオレ達が暮らしていた島に入りこんで自分達の土地だと良い、鬼の仲間達を殺して行った。……これを悪さって言うんじゃねーの?」
「そ、れは…」
「鬼の一族もオレとう一人、ジュディの二人だけになっちまった。もう絶滅するしかねぇ。けど、ただで殺されるとは思うなよ」
「…ユーリ、君が言っていた事は本当か?」
「あぁ?こんな事で嘘言ってどうすんだ。てめぇらはどうせオレ達を殺してこの島とこの島で発掘される聖核が欲しいんだろ?」
「…ユーリ、すまなかった」
「やっぱりな、…って、へ?」
「…今まで辛かっただろう。これからは僕も一緒にいるから」
「はぁっ!?」

ぎゅっ。
青年が鬼を愛おしそうに抱き締めます。
鬼は余りの力に意識を飛ばしそうですが、あえてノー突っ込み。

「…カロル、リタ、ラピード。これをレイヴンさんに渡してくれ」

猛スピードで書かれた手紙を渡すと。

「いやよ。アタシはここに研究の為に来たんだから」
「僕はユーリを探しに来たんだし」

キジと猿には断られたものの犬が手紙を預かってくれました。
しかし、鬼は納得していません。

「おいっ!!色々待てっ!!何かおかしいっ!!この話は、鬼が切られて終わりだろっ!!世界が平和になりました、めでたしめでたし、だろっ!?」
「さぁ、ユーリ。これで障害は何もないよっ!!僕と一緒に幸せな家庭を築こうっ!!」
「アホかっ!!だいたいオレは男だっ!!」
「大丈夫っ!!ユーリなら子が産めるって僕は信じてるっ!!」
「信じんなっ!!そもそも、ここにまた人間が入ってきたらどうすんだっ!?」

一瞬の笑顔と間。すると剣が光を受けキラリと光り…。

「斬るよ」


……。
こうして、鬼は桃から産まれた青年と幸せに暮らし、土地を奪いジュディスと仲良く暮らそうとしていたおじいさんはおばあさんの散弾銃によりボコにされましたとさ。

めでたしめでたし。


(おっさん、たまにはまともな役が欲しい…/レイヴン談)













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アトガキ?

ひごモル様のリクエストでした(^◇^)
童話パロで桃太郎をお願いします。桃太郎はフレンで、鬼がユーリ。退治しに行ったつもりが一目ぼれしちゃって・・・みたいなお話
って事で。
……一目惚れ…?
いや、一目惚れだろうけど、いっきにプロポーズ迄飛んでしまいましたwww
鬼が島=愛の巣=笑
って感じでどうでしょうかwww
風邪を引いて、書きあげるのが遅くなってしまって本当に申し訳ございませんでした゚。・゚ヾ(゚`ェ´゚)ノ。゚・。
これで全てのひごモル様から頂いたリクエスト全て終了いたしましたが、一つでも気に入って貰えたなら幸せです(*^_^*)
それでは、リクエスト有難うございましたっ!!(>_<)