君とお前と歩む為に。15
あの大きな事件が終わり数日が過ぎた。
あの後、フレンは俺を担ぎエステルの元まで連れて行ってくれたらしい。
正直、その時の記憶は全く無い。
そう、フレンに言ったら「ユーリらしいね」の一言だった。
あいつは俺を何だと思ってるんだとしばらくブツブツ文句を言っていたが、それに関しては『凛々の明星』の仲間に順番に説教された。
そして、今は念のためとダングレストの宿屋で休暇をとっている。
もう動けるし、何とも無いんだがエステルとカロルの許しが下りるまでは、どうにもこのままっぽい。
諦めてダラダラ過ごす事に決めてベッドに横になっていると、一通の手紙が届けられた。
「フレンから、この手紙をユーリに渡して下さいと頼まれました」
「フレンから〜?また説教じゃねぇだろうな?」
「ユーリはお説教されて当然なんですっ」
「あー、悪かったって」
何か食べるものを持ってくるとエステルが出て行っている間に手紙を読むことにした。
『最愛なる ユーリへ
こうして手紙を書くのも不思議な感じがするもんだね。
でも、これはこれでなんかいいかもしれない。これを書いている間は君の事を思っている事が出来るから。
所でこの手紙を書いた理由はそれじゃなくて。
君が無くした僕宛の手紙が見つかったんだ』
……読み間違いだよな?
もう一度上から読み返して…。
『君が無くした僕宛の手紙が見つかったんだ』
………。
……………。
…………………。
「マジかよーーーーっ!!」
俺、あの時死んでた方がマシだったんじゃねーかっ!?
…なくなく、手紙の続きを読む事にした。
『凄く…嬉しかった。君が、僕を思っていてくれた事が…。それで、ちょっぴりだけ。ほんのちょっとだけど、レイヴンさんに殺意を覚えたよ。
確かに君は、僕に生きているって事を知らせようとしてくれた。ありがとう、ユーリ。
本当言うと、僕ね?ユーリ。君の事、下町で初めて会った時からずっと愛していたよ。だから、ナイレン隊長にもかなり嫉妬した。
君はバカって笑うかな?でも、本当なんだ。多分、ナイレン隊長も君の事を愛していたんだ。でも君の気持ちを聞いた今なら親子のような愛情だったんだなって分かるよ』
…それは、お前もそうだったぜ?
隊長は、尊敬していた親父さん息子であるお前(フレン)の事を誰よりも心配していた。
『だから、ユーリを助ける為に、出てきてくれたんだよ、きっと。でもさ。何か、こういう事態に陥るって隊長分かってたんじゃないかって思わないかい?』
確かにな。
隊長にはホント敵わねぇ…。
『それで、手紙の話に戻るけど』
いや、戻らないでくれると嬉しい…。
『君の手紙は隊に戻って来たソディアが持ってきてくれたんだ。それで、思い出したんだけど、君はソディアに言ったんだってね?代役だって。これは、どう言う事かな?
もしかして、今回の事件。上手く作戦が成功していれば君はそのまま姿を消す気でいた訳じゃないよね?ユーリは手紙に書いてくれたね?僕は君にとって必要な光だって。
それが本音ならどうして、僕を避けようとする?はっきり言うよ。僕は君のいない世界なんていらない。君と一緒にいたい。側にいなくてもいい。心は近くありたいんだ。
でも、それは生きていてくれないと意味が無い。だから、君がくれたセリフを返すよ。君にとって僕が光になるのなら、君は影だ。だけど、僕にとっては君が光なんだ。僕にしてみれば僕が影なんだ。一緒なんだよ。ユーリ。僕には君が必要で、君には僕が必要だ。だから、一緒にいてよ。僕はこれからもっと世界を正していかなくてはいけない。正がある世界には負が無くては成り立たない。僕は、今僕に出来る事を。ユーリと一緒にいるために出来る事をして行くから…。
【君と歩む為に】…』
「…相変わらず、直球だな。でも、それが俺の親友(フレン)だ…」
知らず涙が溢れ、手紙を濡らした。
フレンが望むならば…。フレンが望み俺を求め続ける限り、アイツの側にいると覚悟を決めよう…。
それが、【お前と歩む為】ならば…。




〜後書き的なもの〜
ここまで読んで頂きありがとうございました(^ω^)ノ
この話は、ただ単に狂ったフレンを書きたかっただけ、と言うただそれだけの理由で始めたのですが、なんとまぁこんなに長くなるとは思わず…。
アタシはどうしても、フレンが強く見えないのです。孤独には絶対弱いと思うのです。ましてや、最愛のユーリがいなくなったら、心の均整が取れなくなると思うのです。
そのユーリとフレンの間柄に萌えて、この話を書きました。Σd(ゝ∀・)
よそ様のフレンは皆カッコいいですよね〜。羨ましい限りです。アタシはどうあがいてもあんな風には書けません…orz
シリアス話はやっぱり難しいです…。
それでもまた書いてみようかな?って思います。ネタが浮かんだら(^^;)