magicmirror











【3】



まさか、アシェットに聞いたこの場所が役に立つ時が来るとは思わなかった。
実際聞いた時は、外でなんて非常識とか思ったけれど。

「…フレン?」
「大丈夫。ここなら周りから見えないから」
「??」

しかし、アシェットも良く見つけたものだな。
こんな物置小屋。
多分公共の遊び道具を入れておく小屋何だろう。
バドミントンのラケットとかシャトルとかサッカーボールまで、色々置いてある。
けど、ここは土日しか解放してないらしく、しかもそれには許可が必要だとか。
じゃあどうして僕がここに入れるのかと言うと、前にアシェットが言っていた抜け道。
そこを使って中に入ったんだけど、その抜け道ってのがブルーシートで隠しているが結構大きな穴が開いている。
外の草原とか木の影でも良かったんだけど…でも、もしかしたらユーリさんの艶っぽい姿を誰かに見られるかと思うと…。
という事で、僕は倉庫にあった物を簡単にだけどどけてユーリさんをそこへ座らせた。
入ったことのない場所に興味があるのか周りをキョロキョロと見渡してる。
そんなユーリさんの頬を両手で包むとそっとその唇を親指でなぞり、ゆっくりと自分の唇と重ねた。
瞳を閉じるユーリさんの頭を、その綺麗な髪を堪能するように撫でる。
サラサラと指をすり抜ける黒髪。
最高の触り心地だ。
一度唇を離して、更に深く唇を深く合わせる。

「………ン……」

鼻から抜ける声に少しずつ理性を焼き切られて行く。
火照った顔。
キスから解放するたびに潤んだ瞳で僕を見つめて微笑むその表情が…。
ギリギリの所で繋ぎとめていた、理性の糸が完全に焼き切れた。
キスにユーリさんの意識が全て行くようにして、僕はユーリさんのボトムのベルトに手をかけ、気づかれないように外して下着ごと一気に下げる。
流石に気付いたのかユーリさんが、もぞもぞと足を閉じようとする。
けど、そうさせず、僕はユーリさんの足の間に体を挟めて膝を自分の肩へと担ぎ上げた。
男同士のやり方は正直わからないけれど、でも男の体の構造上入れれる場所は一つしかないはず。
きつくなったボトムを寛げて、僕はユーリさんのそこへと押し当てた。
自分の状況に気付けていないユーリさんは僕が口を離した時、何をされるのかわからず首を傾げる。

「…大丈夫。大丈夫だから、力を抜いていて」

ぎゅっとユーリさんを抱きしめ、僕はぐっとユーリさんの中へ少しだけ入り込む。

「ひっ!?」

やっぱり痛かったのか、ユーリさんが息を呑む。
でも、少し入っただけでもこんなに熱くてきつい。
ユーリさんの中はきっともっと気持ちがいいはず。
ごめんね。やめられない。
人が来ない場所と言っても声を出されると気づかれるかもしれない。
僕はユーリさんの言葉を声をまたキスで塞ぎ、一気に中へと押し込んだ。
ユーリさんが喉で声にならない声で叫び、背をそらせる。
全部を無理矢理押し込んでしまうと、僕は大きく息を吐いた。

「ふれ…、いた、痛ぃよ…」
「…ユーリ…ごめん。もう少し我慢して」

何の慰めにもならない事を知っているけれど、僕はユーリさんにそう囁きその手を僕の背に回させた。
すると、その手はギュッと僕の服を握りしめた。
駄目だ。
そう言う可愛いことをされると…。
僕はユーリさんの中に吐き出してしまっていた。
こんなすぐにイクつもりは無かったのに。
ユーリさんがあまりに可愛いから…。
しかも一回吐き出したのにも関わらず一切萎えてない。
それどころか…。
我慢出来ず、僕はユーリさんの中を突き始める。
極力ユーリさんも気持ち良くなれるように、キスをしてそっとユーリさんのそれを握りこむ。
上下に軽く動かすだけでそれは直ぐに反応をしめした。
先から先走りが溢れて、ユーリさんの体が小刻みに震え始める。
僕の動きに合わせるように、体が跳ねて感じてくれている。
それが嬉しくて僕はますますユーリさんが感じるように体へ触れていく。
はぁはぁとユーリさんの息遣いが荒くなり、苦しそうに顔が歪んで…あれ?
どうしてだろう?
こんなに気持ち良さそうに反応もしてるのに、どうしてこんな苦しそう?
呼吸も出来てるし、そんなに痛くはない、と思うし。
…多分。
そっと繋がっているそこへと手を触れると、何かで手が濡れる。
さっき僕が出したものだろうか?
目に見える位置へと移動させて、その色に一瞬動きが止まる。
しまった…傷つけてしまったか…。
それじゃあ痛くても仕方ない。この表情も頷ける。
でもここで止める事も出来ない。それは素直に男の事情からだ。
となれば、残る手段は気持ち良くさせるだけ。
この痛みも気に無くなるくらいに。
僕はユーリさんの反応が著しい所を集中的に突いていく。
けど、そうすればするほどユーリさんの表情が険しくなってしまう。
なんで?なんで?
僕の頭の中は今高速回転している。

「ユーリ、そんなに、痛い…?」

もう分からなくて、結局耳元でユーリさんに問いかける。
すると、ユーリさんは首を横に振って、潤んだ瞳で僕をみた。

「フレ、ン…くる、しぃ…」
「苦しい?」

苦しいというと…?
そう言えば、こんなにしっかり反応してるのにユーリさんはまだイってない?
そうか。
僕はユーリさんをイかせる為に再び動き出す。
しかし、ユーリさんは頭を左右に振って正気を保とうとする。

「ふれ、も、も、やらっ、でる、でちゃう…」
「うん。出して」
「やらっ、やらぁっ」

なんでそこまで抵抗するのか。
僕には理解出来ないけれど、でも僕だけ気持ち良くなるつもりはない。
ユーリさんのその震える唇にキスを落とし、抵抗をなくさせる。

「んっ、んんぅっ……んぅーーーっ」

擦っていた手に濡れた感触がしてユーリさんが達したのを知った。

「ねぇ、ユーリ…?」

唇を離して囁きかける。

「今度は一緒にイこう?」

今度こそ一緒に…。
僕はまたユーリさんの中を思うがまま突き始めた。



※※※



もう、何度ユーリさんの中で出したか知れない。
流石にやり過ぎて、ユーリさんが意識を失ってようやく僕は我に帰った。
ハンカチを急いで濡らしてきて、ユーリさんのドロドロになった体を清める。
触れる度にユーリさんが小さく鼻をならして、ふらふらと誘われそうになるのをぐっと堪え、ユーリさんの体をハイスピードで拭いていく。
そろそろ日も落ちる。
僕はユーリさんに服を着せ、背負うと小屋を出て、帰路へとつく。
とはいえ、僕はユーリさんの家を知らない。
とりあえず、僕の家に連れていけばいいか。
あっさりと判断をして、ユーリさんの体に響かないようにゆっくりと歩き出す。
…話をする相手もいなく、黙々と歩いていると、さっきの光景が脳裏をよぎり、その度ダメだと思考を切り替え、我に帰る。
暫くそれを繰り返し、もう少しで家に着く。
その時、背中でもぞりとユーリさんが動いた。

「あ。起きましたか?」
「こ、こは…?」
「もうすぐ、家につくのでだるいかもしれませんが、もう少しだけ我慢してくれますか?」
「家…?―――っ!?」

ユーリさんが背中で少したじろいだような反応を示して、降ろしてくれと言われ、僕は慌ててユーリさんを降ろした。

「ユーリ?」
「お、オレ、今日は、帰るっ」
「え?ユーリ?その体調で一人じゃ。送ってくよ」
「い、いいっ!一人で帰れるっ!じゃ、じゃあなっ!!」
「あ、ユーリっ!!」

あっという間に走って行ってしまった。
あんなにぐったりしてたのに走って大丈夫なんだろうか。
でも、ここで後を追うのも何か後ろめたい気がする。
僕は仕方なく家へと変えることにした。
家の中へ入り、そのドアを背に今日の事をぼんやりと思いだし、顔が一気に火照っていく。

「だ、ダメだ。思いだしたら。と、とにかく今は…あ、あれ?」

靴を脱ごうとして、気づく。
ユーリの靴がない。
今日ももしかして、家へ帰ってるのかな?
じゃあ、ユーリの分のご飯も作って待ってようかな。
そうして、料理を作って待っていたけれど、待てども待てどもユーリは来なかった。
流石に心配だ。
ユーリを任されている身としてはとても心配だ。
悪い男に捕まってたりしたら…。
ぞわりと鳥肌が立つ。
僕は急いで上着を羽織、念のためユーリの両親に聞いてから探しに行こうと隣の家へと尋ねると。

「あら、フレンちゃん」
「あ、おばさん。あのユーリが…」
「ユーリ?あぁ、そうか。ごめんなさいね。お店が忙しくて伝えに行けなくて。ユーリ今熱出して寝込んでるのよ」
「えぇっ!?」

ユーリが熱っ!?
な、なんでっ!?昨日まであんなに元気だったのにっ!?

「す、すみませんっ。僕、気づかなくてっ」
「え?」

一瞬きょとんとしたおばさんは、僕の顔をみて豪快に笑った後、静かに首を振った。

「謝る事はないよ。フレンちゃんにいつも面倒見てもらってすっごく助かってるんだ。むしろ私達がユーリをちゃんと見てやれてないくらいだしね」
「…おばさん…」
「気にしないでおくれ。今日はフレンちゃんもゆっくり休んで。あ、でも、ユーリにちょっとあってやってくれるかい?最近ユーリはフレンちゃんのことばっかりでね〜」
「はい。それじゃあ、少しだけお邪魔します」

おばさんに許可を取り、僕はユーリの部屋へと向かった。
ドアを開けて入ると、そこは小学生らしい部屋だが…机も、椅子も、棚もどれも新品同様のものばかり。
…そうか。引っ越して来てすぐに僕の家にくるようになったから、この部屋にはユーリはほとんどいないのか。
ベットの方へ視線をやると、ユーリが苦しそうに横になっていた。
額には濡れたタオルが置かれている。

「…こんなに具合が悪かったなんて」

どうして、すぐに気付いてやれなかったんだろう。
僕はベットの脇の机の上に置かれている水の入ったタライにユーリの額にあてられているタオルを浸しもう一度冷やすと、それを絞り再びユーリの額へと戻す。
発熱の所為か、ユーリの額はじっとりと汗をかいていた。
…体を拭いてあげたいけれど、タオルとか場所知らないしな…。
それにこれ以上ここにいたら、おばさんに気を使わせてしまうだろうし。
おばさんに状況を伝えて、今日の所は帰ろう。
そう判断し、僕はユーリの部屋をそっと抜けて、おばさんに伝えると家へと帰った。

―――次の日。

学校へ行くために家を出ると、そこにはランドセルを背負ったユーリの姿があった。
僕を見つけると嬉しそうに走り寄ってくれる。

「フレンっ!!」
「ユーリ、大丈夫かい?」
「?」

言ってることが理解出来ないのか首をひねる。
僕はもう一度具合は良くなったのか?と聞きなおすと、ユーリはむぅっとした顔をした。

「母さん、余計な事フレンに伝えやがって」
「ユーリ?」
「大丈夫だよ。そもそも風邪とかじゃ、ねーし…」

ユーリが俯いてしまった表情がわからない。
でも、俯いた時髪が左右にすらりと落ち、首が見える。

「…?」

ユーリの首筋に赤い痕が…?

「ユーリ、一つ聞いていいかな?」
「なんだ?」
「首のその赤いの。どうしたんだい?」
「首?赤い?ん?」

身に覚えがないのか、やっぱり首をひねる。
解ってない?

「昨日熱出したせいで、体に発疹が出たとか?」
「んー?別に痛くも痒くもないぜ?」
「そうなのか?」

試しに触れてみてもユーリはけろっといている。
じゃあ、大丈夫なのかな?
でも、何だろう。
何かもやっとする。
なんだろう、この感じ…。
この中途半端感。
僕はユーリと手を繋ぎ、学校へ向かいながら、頭をフル回転させた。