吸血恋歌





【1】



森の奥深く。
昼でも日の光が入らない深い深い森。
その深い森の奥に一つの大きな大きなお屋敷があった。
誰もよりつかない、大きな洋館。
そこで、今深刻な家族会議が行われていた。

「…どうしようか」
「どうしようと言われても」
「だが、どうにかしないと、僕達は飢え死にしてしまうよ」

広い広いエントランスで僕達三人は腕を組み考えて込んでいた。
金の髪、青い瞳。親類以外の女性とはあった事はないが、親類の男性は皆羨ましいと言う体。
こんな森の中にいるのが不思議な外見をしている、どっからどう見ても普通の人間なのに僕達はこの屋敷周辺の森から、一歩も外に出ない。
理由は、この僕達三人の外見にある。
さっきも言った様に、自分達で言うのもあれだけれども、モデル並みの容姿だ。
だが…。
三人とも、同じなのだ。
姿形、外見の全てが。
強いて言うならば年齢の差がある所為か、若干身長が違う。
その程度だ。
同じ容姿の人間が三人も並んで歩いていたら、不審に思われてしまう。
それに、街を歩けない理由はもう一つある。
…それは…。

「とは言えど、なら、兄さん達は外で血をとってこれるのか?」
「…それが出来ていたらこんなに苦労していないよ」
「そうだな。…やはり血液パックを売っている所に行って買ってくるしかないかな」

…僕達が吸血鬼だからだ。
吸血鬼は血を吸わないと生きて行けない。
…いや、正しくは血の色と香り、そして血と同等の生気を持っている薔薇の花さえあればいいのだけれど。
しかし、それも何年かに一度やってくる血の飢えの時期では役に立たない。
僕達は飢えをごまかして生きてきたけれど、流石にもう限界だった。
だから、早い話。
この家族会議はどうやって血をゲットするかを悩んでいるのだ。

「…僕達が結婚を許せるような、生涯を一生共に過ごせるような相手を見つけれればいいんだけど」
「そんな簡単に見つかるものではないよ」
「だが…、確かにいい加減…ッ!?」

兄さんの声が止まった。
声を止めた理由も理解できる。
裏庭に…感じ慣れない気配がする。
誰かが侵入したか?
人間だったら追い返さなければ…。
僕は兄さん達と視線を合わせると、三人一斉に外に出る。
僕達吸血鬼は、日光で下手すると命を落とす。だから太陽が出ていない時間は普通に行動できるが、太陽の出ている昼に関しては、日光を遮る為、体を変化させて外を移動する。
基本的には狼が一番行動しやすい為、僕達の種族は狼に変身する事が多い。
急いで走り裏庭へ行くと、そこには…。

「………ぅ………」

猫耳、尻尾をはやした黒髪の少年が倒れていた。
…珍しい。ワーキャットじゃないか。
人猫と言った方がわかりやすいだろうか。
しかし、なんで庭に倒れて…?
…ってあれ?
じーっとその顔を覗きこむ。
そして、気付いた。
…大変だ。

この子、凄く可愛いっ!!

ぺろっとほっぺを舐めてみると、甘い。
頬を舐めた所為で意識を取り戻した少年がぱちりと目を開き僕達を見て、そのアメジストの瞳をくりっとさせている。
どうやら現状を把握出来ていないらしい。
堪らなく可愛い。どうにかして…あ、そうだ。

「兄さん、決めました。僕、この子にします。この子と結婚する」
「…僕も、この子が良いな」
「僕もだ」

そう言えば僕達三人、見た目だけじゃなく中身も、好みも似ているんだった。
とはいえ…競う必要も無いだろう。
三人で大事にすればいいんだし…。
のしっと一歩近づくと、小首を傾げて僕達を見る。
怖がらせない様に、ぺろぺろとその頬を首を舐めて行く。

「…んっ、…くすぐってぇ…」

くすくすと笑う。
よし。
怖がってない。
そのままくるっとひっくり返し、ワンピースの様な服を捲り上げる。
尻尾の為か、下着はつけていなかった。
調度いいか。
ペロリと尻尾の下にある蕾を舐めると、びくりと少年の体が震えた。
脅えた様に振り向く少年の顔や首筋を兄さん達が舐めて宥める。
舌でたっぷりとソコを濡らし、僕はお尻を突き出す様にしている少年の上にかぶさり、そして狭いそこへと先端を押し入れる。

「いぁっ!?」

暴れようとした手を両サイドから兄さん達が地面に押し付ける。
凄い…ッ、気持ちいいっ。
ぐっと腰を押しつけると、狭いけれど確実に中へ入って行く。

「いたいぃっ……、なっに、…いたッい、の、やだぁ…っ、ひっ、く…」

もしかして切れたかな?
けど、ごめんね。
止まれない。
それに今は狼型だし、一度いれると僕がイクまで抜けないんだ。
だから…。
少年の頬を流れる涙を舐める。
流石に地面に顔を擦りつけさせるのも可哀想かな。
目配せすると、意図を察した兄さんが少年の顔と地面の間に体を潜り込ませてくれた。
少年は僕から逃れようと、必死に兄さんの背中に顔を埋め爪を立てる。
文字通り爪を立てている。
そして少年は、ワーキャット。
要するに猫だ。
その猫の爪が背中やら脇腹に刺さり、悶えていた。
……まぁ、いっか。
ぐっぐっとどんどん中へと押し込み奥へと進む。
凄い…気持ちいい…。
止まらない。
自分の快楽だけを追い求め、僕は震える少年の中で果てた。
ずるっと中から抜き出し、少年の頬を舐める。
涙が止まるまで何度も、何度も…。
少しでも少年の痛みや怖さが紛れる様に。
だって…、これから…。
僕は、その位置から避けて、上の兄さんと場所を入れ換わる。
そして。

「うやぁぁぁっ!!」

今度は上の兄さんが少年の中へと侵入する。
痛がり方がさっきの比じゃない。
って事は…上の兄さんのは僕のより大きいって事…?
ちょっとむっとする。
けど、そんな自分の気持ちは少し横へと置いておき、今はこの少年が少しでも楽に、少しでも感じれる様にぺろぺろと顔や首筋、背中を舐める。
上の兄さんも少年を労わる様にゆっくりゆっくりと動く。
けどやはり、この少年の中がありえない程気持ちいいのは僕も知っている事実で、直ぐに我を忘れがつがつと中へと入り込む。
少年の下になっている下の兄さんはきっともう背中は傷だらけだ。
思う存分少年をむさぼり、漸く兄さんも中で果てて、抜き出す。
やっと自分の番だと少年の下から抜け出す、下の兄さんの代わりに僕がそこへはまる。
僕のお腹にぽふっと体を預け、きゅっと毛を握る。
はぁはぁと必死に呼吸を繰り返す。
…やっぱりきついかな?
でも、馴れて貰わないといけないから。
僕がじっとその少年の表情を見ていると、のしっと重みが加わる。
かと思った次の瞬間。

「うぁっ!?」

―――ブスッ。

「―――ッ!?」

少年の叫びと同時に少年の僕の毛を握る手に力が籠り、更には縋り付いていた手に爪が出て背中に刺さる。
余りの痛さに一瞬叫びかけてしまった。
兄さん、これを我慢してたのか…。
結構な痛み、って言うか、これ、ホントに痛い。
痛みを我慢するあまり、今度は自分の爪が地面へと刺さる。
すると、次に振動がくる。

「…や、ンッ、……んっ、んんっ、…ふぇ…」

そうか、兄さんのが入って、しかも動き出したから。
納得はするものの、兄さんが動く度に少年の爪が刺さる刺さる。
それでも兄さんが音を上げなかったのを僕が上げる訳にはいかない。
ぐっと我慢していると、兄さんが中で果てて抜き出したのか、少年の力が抜けたのがわかり、大きく息を吐き出した。
そのままの体勢で、視線だけを兄さん達に向ける。
どうすると疑問を込めて。
すると、何故かもう一度揺れが再会する。
この揺れはさっきと同じ…もしかしてっ!?
二回目っ!?
ずるいっ!!
視線に恨みを込めてもう一度送ると、下の兄さんの眼は笑っていた。
上の兄さんも次を狙っている。
そんなのはずるいっ!!
僕だってもう一度したいっ!!
その後は、下の兄さんが抜いた後、直ぐに上の兄さんが入り、それだと絶対ずるいと、上の兄さんに少年の下に入って貰いもう一回、僕と下の兄さんが少年を抱き、終わった頃には既に日が暮れて…。
ぽっかりとお月さまが浮かんでいた。
こうなったらもう、狼の姿で入る必要はなく、僕達は人型に戻っていた。

「…ちょっと無茶し過ぎたかな?」
「ちょっと所じゃないかも…」
「完全に意識飛んじゃったよ?」

…。
暫くの沈黙。
でも、分かっているのは誰も後悔していない事。
僕は静かに少年を抱きあげる。
すると、抱く事に夢中になって気付かなかったけれど、首に小さなネックレスが下がっていた。
そして、そこには小さく何かが書いてある。
文字の様だ。

「えーっと…?『ユーリ・ローウェル』?」

どうやら彼の名前らしい。
そうか。ユーリって言うのか。

「ユーリ、これからは君は僕達のお嫁さんだよ」
「ずっと一緒にいようね」
「大事にするから」

疲れきって眠るユーリの唇に、順番に口付け、僕達は屋敷の中へと戻って行った。