※ 毎年恒例の健康診断で白衣萌(←どうしようもない)
※ やっぱりユーリに白衣はバッチリ似合うと思う。
※ 白衣の下にフレンのシャツ着てたりしたら萌え過ぎて死ww
※ 多少の友情出演。でもアタシはユーリが好き。
※ とりあえずクリア記念と言う事で。
※ ネタばれ嫌な人は回れ右。(TOX、TOG、TOA、TOS−R、TOS)
続・白衣の騎士
「ユーリ、この患者さんなのだけれど」
「あ?どれだよ?」
ジュディスが机に置いたカルテを覗き込む。
なになに…?
あぁ、記憶喪失の。ってか、一時的な記憶障害のソフィか。
「ソフィがどうかしたのか?」
「本当に記憶喪失なのかしら?彼女の話し方とかを聞いていても記憶喪失とは思えないのだけれど」
「それは、オレも感じてた。けどな、一番の問題なのは脳も体も何も異常が無い事だ」
「あー、それはおっさんもそー思うっ!」
……。
ここは診察室だ。
オレは何時もの様に机に向かってカルテを書いて、次の患者の状態を調べて…。
今は誰もいない筈なのに、何でおっさんがここにいる?
じとーっと睨みつけるとおっさんがへらっと笑って、白衣を取り出した。
そしてそれを何事もなく着込む。
「今日はお仕事で来てんのよー」
「はぁん?おっさん、フレンに使いっぱしりにされてんのか?」
「青年、酷いっ!でも、正解だけど。悪いわね。フレンからこれを預かってるの」
そう言って手渡されたのは、手紙。
というかA4封筒。
これは書類ってかカルテだな。
あー、そういえば、今日朝食の時、「一人君に頼みたい患者がいるんだ」とか言ってたな。
アレクセイ院長が病気で急死して、アイツが次期院長候補なもんで色々、忙しいらしいし。
んで、患者ってどんなよ。
気になって、フレンがおっさんに預けた封筒を開けた、その時。
「ユーリ先生、ちょっといいですか?」
「ん?ジュードか?どうした?」
「あ、来客中でしたか?すみません。僕なら後でも構わないので」
「いや、大丈夫だ。そこのおっさんはただの石像と思え」
「ちょ、青年、さっきから酷いっ!」
おっさんが何かショックを受けているが、無視。
それより、どうしたんだ?と問いかけると、ジュードもまたカルテを持ってきた。
「すみません。この患者さんの薬の事何ですが…」
「どれどれー?」
「あ、あのー?」
「あぁ、これね。これだったらおっさんが教えてあげるわー」
「…おい、おっさん。ウチの研修医が困ってるだろ」
いきなり横から割り込みやがって。
明らかにジュードが不安そうな目でオレを見る。
けどま、おっさんの医者としての腕は確かだしな。
「あ、あの、ユーリ先生?」
「ははっ。大丈夫だって。一応おっさんはアレクセイ総合医院の副院長だからな」
「えっ!?あのこの街、随一の大病院の副院長ですかっ!?」
「おう。言う事に間違いはねぇよ」
「行動は間違いだらけ、だけれどもね」
「ジュ、ジュディスちゃんまで…おっさん、泣いちゃうよっ!?泣いちゃうわよっ!?」
しなって泣き真似をするから怪しまれんだって。
言った所で変わりはしないだろうが。
まぁ、いい。
「オレ以外の話を聞くのも悪い事じゃねぇ。ジュード、一回おっさんの診察を見てみるといい。結構面白ぇぞ」
「は、はいっ。よろしくお願いします。え、えっと…」
「レイヴンよ」
「レイヴン先生」
「んじゃ、おっさん。よろしく頼むわ」
「はいは〜い。任せて」
ジュードと二人診察室から出て行ったのを確認して、視線をジュディスに移す。
ジュディスは分かってるわと視線で頷き、レイヴン達の後を追って行った。
お目付役がいれば下手な事はしないだろうが、一応、な。
さてさて、フレンの言っていた患者ってのは誰だ?
名前は、エミル・キャスタニエ。
病名は…解離性同一性障害。二重人格…か。
まーた、あいつは面倒なのばっか寄こしやがって。
まぁ、精神病だとあいつのいる病院は向いてないだろうが…だがなぁ。
ん?カルテに何か挟まってやがる?
メモが二枚?一枚目は…?
『エミル君は、通常だと温和な子だが、マルタさん(彼の彼女らしいが)が傷付きそうになると、どうしようもなく凶悪な人格が出て来る。
彼の剣道の腕はかなりなもので、普通の病院だと暴れ始めると対処が効かない。僕がいる時ならいいが、常に見ていられるわけではないから、君に頼みたい』
成程な。…ふ〜ん。エミルって奴、男らしいじゃねぇか。
引き受けてやりたいが…病室空いてたか?
オレの病院の病室は五つ。んでいるのは、足を大火傷したミラと記憶喪失のソフィ。天使疾患のコレットにぎっくり腰のローエン、んで音素乖離障害のルーク…と。
んだよ、全部埋まってる。
……仕方ない。しばらく通院させるか。
ってか、取りあえず診てみない事には始まらねぇな。
フレンに了解の手紙を書く。
それを小さな封筒に入れながら、そう言えばもう一つメモがあった事を思い出す。
そう言えばこれってなんだったんだ?
『それと、ユーリ。腰、大丈夫?昨日激しくし過ぎたかなって、ちょっと反省してるんだ。だって、昨日の君は本当に可愛くて……』
ビリッ。
ビリビリビリッ。
よし。今オレは何も見なかった。
ゴミ箱にフレンのセクハラメモが入っている事は完全に記憶から消去。
さてと、診察も終わったし、午後の巡回行ってくるか。
診察室を出て、ロビーへ出ると、そこでジュード、レイヴン、ジュディスがカルテを見て話し合っていた。
そして、オレに真っ先に気付いたのは、予想通りジュディスだった。
「あら?巡回?」
「おう。ちょっと行ってくる」
「あ、ユーリ先生。僕も行っていいですか?」
「おう。いいぜ。んじゃ、行くか。あ、おっさん」
「呼んだ?」
「これ、フレンに渡してくれ」
「あら?受け入れるの?あの子」
「あぁ。いくら剣道が強くても、オレ達には通じねぇよ」
レイヴンが無言で呆れていた。
だが、実際事実だしな。
オレが剣道でフレンと二人全国を制覇して(ま、実際は競ってたんだが)、ジュディスは薙刀の師範代。
負ける筈もない。
「でも、今はジュード君もいるでしょ」
「え?僕ですか?」
「心配ねぇよ。ジュードは空手黒帯の凄腕だ」
「……おっさん、どうしてここが病院なのか不思議で堪んないわー……」
…それは、オレも不思議で仕方ない。
けど、人を救う仕事って言ったらなー?
オレが苦笑いしてジュディスとジュードへ視線を送ると、同じ顔をして笑っていた。
「んじゃ、おっさん。これフレンちゃんに届けに行ってくるからー。ジュードちゃん、頑張ってねー」
「はいっ!有難うございました」
ふらりと診察室に入って、先程置いて行った鞄を持ち、白衣のまま出て行った。
……そのまま外に出んなら、何で来る時脱いで来たんだよ…。
と突っ込みを入れたい気もするが、面倒くさいのでパス。
オレはこの後おっさんを返した事を死ぬ程後悔するのだが、今はそれを知る由も無かった…。



