※ 医者パロです。
※ どうして続き番号にしなかったのか只今絶賛反省中です。orz
※ 前回にいたってはフレンいないんですけど…。
※ でも今回はちゃんとフレユリ。
※ しかし、短いww



続3・白衣の騎士





今日の勤務も終わり、漸く家路に就く。
マジで今日は疲れた。早く、家帰って飯食って風呂入って寝たい。
やっと辿り着いた家の戸を「ただいま」と開く。すると。

「お帰り」
「うおっ!?」

えらい不機嫌そうな顔したフレンが仁王立ちして玄関に聳え立っていた。
玄関に居るとは思わず、おかしな声が口から飛び出る。

「何してんだよ。んなトコで。驚かせんな」
「うん。ちょっと。ユーリに聞きたい事があって」
「聞きたい事?」
「うん」
「何だよ?っと、ちょっと待て。靴脱いじまうから」
「いくらでも待つよ」

…ゾクッ。
何だっ!?
今、背筋に寒気がっ!?
ブーツの紐を解き靴を脱ぎ、中へ入る。
視点がフレンと同じになり、フレンをじっとみると、フレンがニコリと笑った。

「ねぇ、ユーリ。聞きたいんだけど」
「ん?」
「今日五人と浮気したってホント?」
「……は?」

え?何を言ってんだこいつ?
そもそも浮気って何だ。浮気って。
フレンの言ってる事が理解出来なくて首を捻ると、フレンの目がすっと細められた。
……やべぇ。こいつ、マジで怒ってる?

「ちょ、ちょっと待てよ。オレは今日仕事しかしてねぇよ?」
「うん。知ってるよ」
「ならっ」
「その仕事場で色んな人を誑していたんだろ?」
「……はぁっ?」

こいつマジで何言ってやがるんだっ!?
理解出来ねぇ。
マジで分からんねぇ。
とは思っていても、フレンは理解出来ないオレが理解出来ていないらしい。

「本当に分かってない?」
「あぁ。全然分からねぇ」
「…まず、シェリアに抱きついて、体を触りまくったらしいね」

ピシッ。
何で知ってるんだ?
って、ちょっと待て。あれは浮気じゃなくて。

「そうじゃねぇよ。あれはただシェリアが妊娠しているか確かめただけで」
「なっ!?ユーリっ!!僕というモノがいながらシェリアにっ!!」
「違うっ!!ありゃ、アスベルの子だっ!!馬鹿っ!!」
「本当に…?」
「当たり前だろっ!」
「じゃあ、ミラの足に愛撫したってのは?」
「あれもただのマッサージだっ!!お前だって医者なら分かるだろーが」
「ふーん、じゃあ、コレットと無理やりじゃんけんしたのは?コレットを自分のものにしたかったの?」
「お前はホントにアホか。コミュニケーションにまで口出すのか?だいたい、コレットにはロイドがいるだろーが。更に言えば話がねじ曲がり過ぎだ」
「そうは言うが、ローエンの体を触りまくったんだろ?」
「…だからな。あれは診察だって…」
「ルークとアッシュとの三角関係は?」
「………もういい。マジで面倒くさい…」

仕事上がりに何かと思えば本当にコイツは…。

「ユーリ、本当に浮気じゃない?」

全く何を心配してるんだか…。
呆れて、でも、そこまで焼き餅を焼いてくれるのが何だか嬉しいような…。
そう思ってる地点でオレの負けか。
クスリと小さく笑って、フレンの腕を引き、腕の中に閉じ込め額にキスをする。

「ほら。機嫌治せって。…な?」
「…ユーリ…」

フレンが不安そうにオレの顔を覗き込む。
馬鹿だな…。
何をいらない心配してるんだか。
オレはフレンのキスを目を閉じて受け入れた。
ただ触れるだけのキス。
機嫌治ったかな?
そっと離れるフレンの瞳は幸せそうな色をしていた。

「ごめんね。ユーリ」
「いいよ。別に。お前に嫉妬されるのも別に嫌いじゃねぇしな」

面倒だけど。とは言わないでおく。

「じゃあ、遅くなったけどご飯食べようよ」
「あぁ。そうだな」

二人仲良くリビングへ向かう。
あ、そうだ。そう言えば。

「お前に降らない事ほざいたの誰だ?」
「あぁ。レイヴンさんだよ」
「あの、おっさん…。明日マジで覚えてろよ…」

滅茶苦茶仕事押しつけてやる。
吐くまで仕事させてやる。
イライラとしながら、リビングのドアを開けると。

「へ?何だ、コレ?」

そこには実に美味しそうな御馳走がテーブル一杯に置かれていて…。

「え?何で?」
「何でって、今日は結婚記念日だよ」
「…は?」

一体今日何度目の驚きだろう。
しかも、言った当のフレンは嬉しそうに、当然そうに胸を張っていた。

「え?どういう事だ?」
「だから、結婚記念日。まぁ、正しくは入籍記念日?」
「……ちょっと待て。色々待て。オレの思考がついて行かないんだが…」
「え?今日の手紙に書いただろ?」
「手紙…?あのエミルって患者の事か?」
「違うよ。そっちじゃなくて」
「そっちじゃない?…あのセクハラメモか?」
「セクハラメモって酷いな。君がいかに可愛かったかを書いただけなんだけど」
「充分セクハラメモだ。んで?それに何を書いてたって?」
「ユーリを僕の養子縁組するからって」
「……は、い?」
「これで、今日からユーリは完全に僕のお嫁さんだよ」
「……はっは、冗談」
「ではないからね。安心して」
「大体判子がないと」
「それは今日レイヴンさんが一緒に持って来てくれたよ」

………。
もう何も言う気にはなれない。
けどまぁ、戸籍に入ろうが何だろうが今までの生活はそう変わらないだろう。
……変わらないと思いたい。
この際、フレンの事はいい。
コイツは騙されやすいから。
純粋だから。
そこを好きになったんだし。

「……おっさん、取りあえず、死ぃ覚悟しとけよ」

オレの呟きが、実行されるのはまた別の話である。